
ハウスメーカーや工務店の紹介サービスを最近よく見かけるけど…安心して使えるの?
SNSでやたらと見かけるようになった”相談窓口”、”営業担当マッチング”、”間取り添削”というワード。
これらの正体は「家づくりの仲介ビジネス」という、施主にとって不利に働く可能性のある内容であったりします。



施主として家づくりを終え、そして住友林業を紹介する立場になってわかった、仲介ビジネスの光と闇…
これから家づくりをする方が知っておくべき、仲介サービス(仲介ビジネス)の全容を解説していきます。
- 注文住宅業界の「仲介サービスとは何か」
- 仲介サービスの「メリット・デメリット」
- 仲介サービスとの「賢い付き合い方」


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はじめに|なぜこの記事を書くに至ったのか
仲介業者の発信が”より良い家づくり”を目的にしていない


なぜこの記事を書こうと思ったのは、「家づくりで何を信じたらよいのかわからない」という相談を施主様から数多くいただいたことがきっかけです。
話を聞いていくと、”家づくりの仲介サービス”を提供するインフルエンサーによる無暗に施主の不安を煽るような発信や、ハウスメーカーと施主の対立構造を作り上げる発信、これはダメあれは古いと偏った視点の発信を真に受けてしまっている様子でした。
それを聞き、仲介ビジネス全体の目的が、”より良い家づくりをすること”ではなく”注目を浴びて金稼ぎをすること“に偏ってきている状況に危惧しています。
そんな中、施主も仲介ビジネスに対する理解度を上げる必要がある、そんな思いでこの記事にまとめました。
この記事で主張したいことは3つ



私たちのスタンスは、仲介ビジネスが悪!ではなく、メリット・デメリットを理解して利用しようという見解です!
- 仲介サービスの仕組みを知り、適切に距離を置いて利用しよう
- 発信内容はポジショントークが入ることを理解して取り入れよう
- インフルエンサーではなく目の前のプロ(設計士・建築士)に頼ろう
家づくりの仲介サービス(仲介ビジネス)とは
第三者がハウスメーカー・工務店の集客を行い報酬を受けるビジネス


仲介サービスというのは、”第三者“が“ハウスメーカー・工務店の集客”を行い、その結果”報酬“を受けるというビジネスモデルで成り立っています。
- 第三者:紹介を行うハウスメーカーや工務店で家を建てていない、PRを目的とした企業や住宅系インフルエンサーのこと。
- ハウスメーカー・工務店の集客:InstagramやSNS、LINE等で、家づくり相談や一括資料請求といった無料のサービスを起点に集客を行っています。
- 報酬:紹介した施主が紹介先のハウスメーカー・工務店で契約することで報酬を受ける成功報酬型や、PRによる広告・宣伝費を受け取るなど契約形態によって様々です。
仲介サービスは名称・登場人物が複雑化している


仲介サービスにおける集客の手段はSNSの普及により多様化しており、仲介であるとわからない名称であることも多いです。
間取りの添削、担当者マッチング、営業担当紹介サービス、家づくりの無料相談、ハウスメーカーの選び方相談、見積の一括請求、間取りの一括請求、相談窓口



サービス料金を払ってプロに添削してもらえるサービスもあり、それは仲介ではないよ!


ここ最近は第三者だけでなく、特定のハウスメーカーの施主が企業や別のインフルエンサーと共同で仲介サービスを行っているケースも見られます。
このケースでは、フロントで集約を行うのが”斡旋先のHMや工務店で建てたことのないインフルエンサー“であることが特徴的です。
全国のハウスメーカー・工務店を紹介、全国のハウスメーカー・工務店の優秀な営業を紹介、XXXXによる間取り添削特典



私たちもこのケースでお声がけをいただくのですが、”仲介者は少ない方が良い”というスタンスですので断っています。
仲介手数料が契約金額に上乗せされるケースもある


例えば某サービスでは「契約金額の5%」のような手数料が支払われており、施主の見積金額に手数料が上乗せられているケースもあると聞きます。



家づくりは金額が何千万、何億となるので、仲介手数料も膨大…!


加えて、仲介者であるインフルエンサーや企業が増えるほど手数料は膨大に増えていきます。
厳密には契約内容によって異なりますが、仲介サービスを検討される施主様は、受けられるサービスが仲介手数料以上のものか?をよく考えて利用することが重要です。
仲介サービスには完成責任がない
仲介サービスはあくまで仲介手数料を得ることが目的なので、ハウスメーカーや工務店と違い、理想とする家ができるかに責任を負うことはないです。
いくら間取りの添削を受けたりアドバイスを受けたからといって、より良い家づくりができるとは限らないということに注意しましょう。



もちろん、熱意をもって真剣にサービスを提供してくれる方もいます!
仲介サービスは注目を集め・価値観を絞ることで売り上げを伸ばせる
仲介サービスで重要なのは「売上(仲介手数料) = 単価 × 集客数 × 契約率」で、これを理解すると発信者の意図が見えてきます。
ネガティブな発信や断定的な発信は、SNS上でより注目を得ることで自身のサービスへの集客数を増やすことが目的です。
加えて「性能が絶対」というような一方的な価値観を視聴者に埋め込み、それに合わせたハウスメーカーを紹介することで、契約率を上げているわけです。



業界を変えたいなら自身で工務店なりをやればよいのですが、それをやらないのは”仲介”という仕組みが手軽で儲かるから。
施主が自身の担当を紹介する公認の制度も存在
ハウスメーカーによっては、”施主が自身の担当を紹介する”ハウスメーカー公認の「紹介制度」というものも存在します。
例えばアイ工務店や一条工務店といったSNSでの集客に積極的なハウスメーカー・工務店では、有名な施主を”アンバサダー”とすることで、アンバサダーを起点に集客する動きもあります。
これが”仲介サービス(仲介ビジネス)”かというと微妙ではありますが、成約による紹介報酬を受けていることは事実として知っておいた方が良いです。
とはいえ、 少なくとも私が紹介している住友林業では上乗せはされていない(むしろ値引きが大きくなる)のが現状です。


仲介サービスとの賢い付き合い方
メリット・デメリットを理解する
家づくりは”各々の前提が違って正解がない”、だからこそ家づくりの過程における施主の納得感が重要です。
そのため、仲介サービス=悪ではなくメリット・デメリットを理解して、納得感を得るために必要であれば利用するのが良いと思っています。
メリット
- 仲介サービスごとの特典を受けられる
- 優秀担当がつく
- 第三者による添削
- 家づくり資料の提供
- 展示場に行かずに見積請求できる 等
- 第三者から家づくりのアドバイスを貰える安心感
- インフルエンサーの発信内容を取り入れる納得感
デメリット
- 仲介手数料が意図せず上乗せされている可能性がある
- 仲介サービスを利用しなくても利用できる特典がある
(例えば営業担当は施主から紹介の方が確実で手数料も取られない) - 完成責任がないので、提供されるサービス内容は保証されない
- 施主からの紹介制度が使えなくなる
発信者の経歴とスタンスをチェックする
仲介サービスの運営元やSNSの発信者がどういった立ち位置にいるのか、経歴やスタンスは必ずチェックするようにしましょう。
最近多いのは”ハウスメーカーの元営業”ですが、経験のない設計についてプロのような顔をして発信するのは業界としてどうなの?とも思います。
- ハウスメーカーの元営業
- ハウスメーカーの元設計士
- ハウスメーカーの元IC
- ハウスメーカーの施主
- PRやWRB集客を生業とする企業アカウント
まずは”理想に近い家”を実現した施主を探す
前述の通り、多くのハウスメーカーでは施主が自身の担当を紹介する「紹介制度」を導入しており、仲介サービスに申し込む前に活用することをおすすめします。
“理想に近い家を実現した施主“からそのハウスメーカーの担当の紹介を受けることで、中抜きなく理想の家を実現した担当に巡り合えます。



見つけるにはInstagramやYoutubeが良いですが、仲介業者も混じっているので注意!
住友林業であれば私たちから紹介も可能ですので、ぜひ詳細記事をご覧ください。




ただし、紹介者によっては雑な集客でハウスメーカーに横流ししている方も存在しているようなので、本当に担当をアサインしてもらえるのか?はよく確認しましょう。



“全国紹介可!”って…優秀な担当は忙しくて全国を対象にできるほど暇じゃないんじゃ…?というギモンも
誰を信用すればよいのか?
目の前の建築士(設計士)を頼りにする


このブログを通じてお伝えしているのが、注文住宅で大切なのは「プロからいかにアイディアを引き出せるか?」ということ。
プロである建築士(設計士)からアイディアを引き出すには、懐疑的な姿勢ではなくて信頼する姿勢で臨むことが大前提ですし、何より困ったことは何でも相談するといった伝えることから始まります。
加えて、やりたいことを熱く語って設計士を動かす、伝え方もポイントになってきます。
せっかくの高いお金を払っての家づくりですから、仲介業者や素人のインフルエンサーにお金を払うよりも、まずは目の前のプロに相談することから始めてみてはいかがでしょうか。



あくまで1個人の意見ですが、これは家づくを通して強く感じたことです!
第三者の相談が必要なら担当を変えることも視野に
第三者のアドバイザーを利用する前に、不満があれば、まずは営業担当もしくは設計担当を変えてもらう、それでも難しければハウスメーカーや工務店を変えることも視野に入れましょう。
初回の提案で感じた違和感は第三者を入れても解決できないことが多々あるので、まずは相談することから始めてみるのが良いと考えています。
SNSとは適度に距離を置く
SNSの台頭により、どの業界でも「プロの言葉よりもインフルエンサーの言葉を信用する」という現象がおきています。



注文住宅業界でも”素人のインフルエンサー”に間取りの添削を頼むような異様な現象も…
当たり前ですが、素人に意見を求めても良いものは作れません。そして前述の通り、SNSでの発信には必ずポジショントークが存在しているもの。
1施主の紹介でさえ、優秀な営業担当(定義が不明)や全国OK(優秀な担当は全国対応できるほど暇ではない)など、怪しいと思う主張も多々見かけます。
SNSは信じ込まずに一歩引いてみて利用する、そんなスタンスが良いと思っています。
あとがき


本記事では”仲介サービス”に注目してまとめてみましたが、そもそもなぜ仲介サービスが台頭するようになったのか?
それは注文住宅業界で、ブラックボックスすぎる”値引き文化”や、できないことが契約後にわかる”後だし文化”など、施主に不誠実な文化が続いてきたことが一つ要因としてあると思っています。
その揺り戻しとして、個人に寄り添ったインフルエンサーや、彼らが運営する仲介サービスが注目を浴びることになっているのではないでしょうか。
私個人としては、”これから建てる方がより良い家づくりができること“を目的に、引き続き、住友林業の1施主としての立ち位置で発信を続けていこうと考えています。